カット

 「ダイヤモンドは同じ1Ctでもバランスが大切」という事を理解して頂けたと思います。今日はもう少し詳しくお話したいと思います。


ダイヤモンドグレーディング「4C」の中で、バランスとは「カット」の「C」を意味しています。通常「カット」と言えば2通り意味があり、一つ目はカットされた輪郭(石の形状)そのものを意味するのに用いられます。


例えば、ラウンド・ブリリアント・カットとかマーキス・カット等と呼ばれるものがそれにあたります。


もう一つは、「メイク」と呼ばれ、例えばラウンド・ブリリアント・カットでもカットされた各々の面がどの様な角度で、又はその配列は適正か等を判断する「カット」という意味があります。もちろん、ダイヤモンドの4C評価においての「カット」は、後者の「カット」すなわち「メイク」を意味します。

メイクの重要性

では、何故その「メイク」が評価基準に重要な役割を果たすのでしょうか?
今日はこのことを重点的に考えてみたいと思います。
ダイヤモンドは、原石では全く光らないただの硬いだけの石ころです。
ルビー・サファイア・エメラルドの様に(特殊なファンシーカラーダイヤモンドを除いては)色そのものを楽しむという事は出来ません。


しかし、一度人間の手にかかり磨きあげたならば他の宝石では決してマネのできない輝きを見せつけます。
「光」そのものを楽しむのがダイヤモンドと言えるでしょう。


では、ダイヤモンドのその光の美しさとはどういったものなのでしょうか。

業界では次に上げる3つの美しさを重視しています。

1.ブリリアンシー
 石の内部、及び表面から反射して観察者の目に戻ってくる白色光の総量
2.ディスパージョン
  白色光がスペクトルカラーに別れ虹色の輝きを放つ事。
3.シンテュレーション
  石、光源、観察者などの動きにつれて見られる外部及び内部からのファセット(切り子面)の反射光の煌き。


以上述べた美しさが,すべて「メイク」の良し悪しにかかっています。
メイクが良ければ入ってきた光を美しく観察者の目に届け、悪ければ入ってきた光を観察者の目に届けず洩らしてしまいます。

ダイヤモンドにおけるカットの役割は・・・

光をいかにうまく演出するかという事になります。
従って同じダイヤモンドでもその輝き方は一様ではなく、カット(メイク)しだいで、輝き方は違ってくるという事です。


人があせってカットしたものや、より重量を重視した為にメイクにこだわらなかったダイヤモンドはそれなりの輝きをし、よりカットに時間を費やしたダイヤモンドはその労力に答えるかの様に輝きます。


生まれた時のダイヤモンド(原石)の大きさ、内容物の有無、色はダイヤモンドの持って生まれたものであるため、人はどうする事もできませんが、より輝くように導いてあげるのは「」次第です。


ダイヤモンドも、どの様な考え方をもったカッター(カットする人)と出会うかによって運命が変わってしまいます。


ある意味ではダイヤモンドも人も同じかもしれませんね。
どのような人と出会って。。。どのように自分が磨かれるのかは。。。