キャラクターの説明

黒色の内包物

では、クラリティの「C」はこれまでの「C」と比べてどうでしょう。
カラット、カットのように数字で表すことはできませんし、カラーのように基準となるダイヤモンドもありません。すなわち、スケールが存在しないのです。
ですから、より熟練を要します。
まして、二つとないキャラクターを見比べて判断する訳ですから熟練者同志でも判断の食い違いもあります。


では、どのようなキャラクターがあるのでしょうか、少し例にあげてみましょう。
3月21日記載の写真は、ダイヤモンドの中にダイヤモンドの結晶が見えます。
大きさ、形は違いますが、よく見かける内容物です。
ダイヤモンドの赤ちゃんみたいですね。
この赤ちゃんは大きくなりません。
ずっとこのままです。
永遠に生まれたままのダイヤモンドの結晶です。


3月23日記載の写真は、ガードル部分(輪郭部)がザラザラで研磨が悪い証でもあります。
ガードル部下に、小さな割れをともなっています。
ヒゲの様に見えるので、ベアデッド・ガードルといわれています。
やっぱり、あごひげは剃っていた方が男前ですよね。

 
4月2日記載の写真は、テーブル面(一番大きな面)にクラッチ(引っ掻き傷)が確認できます。
内部に入り込んでいませんが、ダイヤモンドの大事な部分にあるので気になる所です。
今回記載の写真は黒色の内容物です。
3月21日の透明の内包物と比べて目立ってしまうため嫌われています。

3月25日記載の写真は、ダイヤモンドの中に一本の白いラインがあり、その先端に白く濁ったモヤモヤが確認できます。
実は白く濁った所には黒っぽい内容物があり、目立つために、レーザーでダイヤモンドに穴を開けて漂白した後です。レーザードリルホールといって、とても興味深いキャラクターですが、今では人工処理の扱いになり、評価は下がります。


3月28日記載の写真は、フェザーと呼ばれている大きな割れです。これは致命的で、このダイヤモンドに衝撃を与えればさらにこの割れは広がり、クラリティのランクは下がる恐れがあります。
このように、キャラクターは説明すればキリがないくらいあります。
クラリティグレードとは、これらキャラクターが、どこに、どれぐらい、どのように、どんなものがあるかなどを考慮しながら決定します。
同じ様なものを比べるのではないですから、容易ではありません。
また、逆にグレーダーにとっては一番おもしろい「C」かもしれません。
頭で理解するのではなく、経験を積む事なのです。


ながくダイヤモンドと付き合っていると、色々なキャラクターに遭遇します。
本来、キャラクターとはダイヤモンドの欠点なのですが、むしろ、いとおしく思えてきます。
欠点のないダイヤモンドは稀で、高価ですが、どんなキャラクターを持ったダイヤモンドに出会えるか…その方が楽しみでもあります。


人もまた、出会いが大切です。これまでに、いろんな方と出会ってきました。
キャラクターがユニークであればあるほど心に刻み込まれているのではないでしょうか。

「おっと・・」
また、少し「よりみち」をしてしまいました。
こんな私を、頭で理解しないでください
これもまた私のキャラクターですから…。

クラリティグレードのキャラクターを六つ紹介しました。キャラクターは他にもあるのですが、すべてを紹介し切れませんので、紹介したキャラクターを中心に、次に鑑定士とはどういうところに重点を置くかという事をお話します。